抄録
低熱膨張性、熱安定性、絶縁性、紫外~可視での高透過率などの諸物性に優れたシリカガラスは従来から多量に利用されてきた重要な基礎素材である。シリカガラスの製造法としては溶融法、気相法、ゾルゲル法が挙げられる。これまでに著者らは粉末焼結法による透明シリカガラスの製造に関する研究を行い、焼結性と透明性の関係について議論してきた。焼結過程における構造変化をその場観察できればガラスの無秩序性に関するより詳細な知見が期待できる。しかしながら、1600℃、高真空における焼結という過酷な実験条件なため、焼結過程の詳細な観察は困難であり、報告例も皆無である。本研究では高温・雰囲気制御可能なUVラマン分光その場観察装置を作製し、シリカガラス成形体の焼結過程を観察した。