抄録
色素増感太陽電池の電極は,その微細構造が光捕集効率,伝導帯中の電子移動度,色素の吸着,電解液の拡散など多くのパラメータに影響を及ぼす。そのため電池の性能を上げるには,電極構造の制御が必要不可欠である。我々は,電極材料としてZnOに注目しており,色素増感太陽電池の電極に適した粒子集合状態を持つZnO膜の作製を目指している。本研究では,化学溶液析出法とスキージ法の2つの方法を用いて,ナノ構造ZnO膜の精密な構造制御を行い,電池の変換効率向上を目指した。その結果,膜の微細構造と光散乱あるいは色素吸着状態の間に相関関係があることを見出し,これらを精査することによってZnO単独で従来の値を大きく越える4.5%の変換効率を達成した。以上のことから,ZnO電極のプロセス,構造と光電変換性能の関係を議論する。