抄録
水熱処理により生成した強誘電体MTiO3 (M = Ba, Sr, Pb, La)粒子は結晶内部に多数の空孔及び水が含まれ,誘電特性の低下が生じると報告されている.本研究では高濃度KOH水溶液中の水熱処理によって高結晶性のMTiO3を調製した.得られたMTiO3粉末はXRD,FE-SEM,TG-DTA,FT-IRで評価した.50 mol dm-3 KOH中,150 ℃で生成したBaTiO3粒子は直径約50 nmであった.この粒子の形態は反応時間とともに球形から立方体へと変化し,格子定数acは0.4052 nmから0.4016 nmへと変化した.そしてこれらの変化は,結晶内部の欠陥が反応時間とともに減少していることに対応していると考えられた.