抄録
天然に存在するコンニャク石は、石英粒子とジグソーパズルに似た三次元的な粒界クラックを有することから、塑性変形が可能である特異な鉱物である。セラミックスの応力緩和機構として、この可撓性に着目し、その機械的・熱的性質を調べるとともに、熱膨張の異なるセラミックスを焼結し、粒界にクラックを発生させることを試みた。例えば、低膨張KZr2(PO4)3/高膨張KAlSi2O6複合体において、いくつかの試料中にクラックが生じ、強度は低いがコンニャク石と同様な応力-歪み曲線を示した。これは、耐震・免震材料などに応用できる可能性がある。即ち、セラミックスの脆性を積極的に利用して、塑性変形までをも可能にするという逆転の発想により、セキュアなセラミックスを目指すものである。