抄録
本研究グループでは、材料側から生体反応を積極的に制御する新規機能の付与を目的に、分極バイオセラミックスの研究に取り組んできた。分極処理を行ったハイドロキシアパタイト(HA)を試験動物に埋入した生体内試験では、その表面誘起電荷のはたらきにより、新生骨の形成・成長の促進が認められた。同時に、偏光顕微鏡を用いた観察により、新生骨が結晶配向性を有し、そのc軸方向が基板界面と垂直となることがわかった。本研究では、生体外試験の観点から、上記のメカニズムの解明を目指し、擬似生体環境に様々な生体材料を浸漬し、各表面に形成した骨類似アパタイトの結晶配向性を評価した。