抄録
皮膚貫通(経皮)して使用する創外骨折固定ピンの、皮膚界面でのトンネル感染率は30%と高率であり、患者のQOL低下、院内外ケアの負担増、院内感染の温床となっている。我々は、皮膚・血管再生能を有するFGF-2とアパタイトのナノ複合化皮膜を創外固定用チタンピン上に形成した。担持されたFGF-2はin vitro試験により活性を残していることが確認された。FGF-2-アパタイト複合皮膜をコーティングした創外骨折固定チタンピンをウサギ脛骨に経皮的に埋入すると、Tiのみ、あるいはアパタイト皮膜のみでは94%がトンネル感染(判定基準:発赤、膿潰)する厳しい条件下でも、感染率を44%に抑えることに成功した。