抄録
石炭火力発電の副産物であるフライアッシュ(以下FA)の発生量が大幅に増加し、処分場や資源リサイクルの観点からセメント原料以外への有効活用を図るための技術開発が求められている。FAはシリカやアルミナを主成分とするガラス相を含むため、水熱反応を利用することで住宅の屋根材や外壁材の原料としての使用が期待されている。しかしFAは炭種や火力発電所の場所によって性質が大きく異なるため、FA自身の特性が水熱反応において生成物に及ぼす影響を明らかにする必要がある。そこで本研究では複数のFAのキャラクタリゼーションを行うとともに、それらを水熱反応によるケイ酸カルシウム水和物の合成に用いた際に、水和物の結晶性や形態及び反応機構に及ぼす影響について検討した。