抄録
現在最高性能の酸化物熱電材料であるNaCo2O4は、熱伝導率がシリカガラスなみに低いという特異な性質を有する。この原因は、NaCo2O4のCoO2層間に位置するNaサイトが半分欠損しており、その無秩序性がフォノンを効果的に散乱していると考えられているが、詳細はわかっていない。そこで、酸素空孔が規則配列した斜方晶ブラウンミラライト構造とランダムに分布した立方晶ペロブスカイト構造との間で相転位を起こすSrCo1-xFexO3-δの熱伝導率の組成・温度依存性を調べ、酸素イオン副格子のorder-disorder転移によるフォノン選択散乱の可能性を検討した。さらに、一般に低温相と考えられているブラウンミラライト相が高温からのクエンチで出現することを見出したため、構造と酸素量などの関係を詳細に調べた。