抄録
骨補填材として用いられているアパタイトセメントは任意の形状に加工できる特長を持つ。現在臨床応用されているアパタイトセメントはCaHPO4とCa4(PO4)2Oの反応によって水酸アパタイト(HAp)を形成しているが、この反応では発熱やpH変動といった問題点がある。そこで、我々はHApの表面をイノシトールリン酸(IP6)で表面修飾し、これを水と混練することで硬化する単一成分系の新しいアパタイトセメント、キレート硬化型アパタイトセメントの開発を行っている。今回、出発原料として用いる水酸アパタイトをボールミルにより粉砕・微粒化させることで従来の圧縮強度を大きく超える15 MPaの圧縮強度を達成した。