抄録
Nafionに代表される有機高分子電解質膜は,耐熱性に乏しく,非常に高価であるため,PEFCの実用化に大きな障害となっている.一方,ゾル-ゲル法により作製したハイブリッド膜は,安価で,柔軟性や耐熱性に優れる.本研究では,テトラメトキシシラン(TMOS)を用いてポリジメチルシロキサン(PDMS)を架橋させることにより,中温域で使用可能な電解質膜の作製を目的とした.非イオン性界面活性剤Brij56を加え,ナノ細孔を有する膜にしたのち,H3PO4に浸漬することでプロトン伝導性を向上させた.膜の伝導度は80℃,90%R.H.において1.8×10-3 S/cmであった.ハイブリッド膜の熱的安定性,弾性率および細孔構造と伝導度の関係について考察する.