抄録
Bi-Mn-Co系ZnOバリスタのBi2O3の結晶構造と課電劣化の回復に関する相関性について調べた。評価方法は光学顕微鏡,電圧-電流(V-I)特性および粉末X線回折(XRD)である。
その結果,Bi2O3の結晶構造がデルタ型である試料において顕著な非線形性の回復が見られた。焼成時間を長くした試料が短い試料に比べて回復のスピードが遅くなること,および焼成時間を長くするとBiの蒸発量が増加することから,課電劣化の回復はBi2O3の結晶構造およびBi2O3の量に依存していると考えられる。
また,課電劣化と回復を繰り返し行った結果,回復の過程に変化が見られないことより,非線形性の劣化および回復は酸素イオンの移動のみに寄与していることが示唆された。