抄録
分子プレカーサー法は,アニオン性錯体のアルキルアンモニウム塩を含むコーティング溶液を利用する化学的成膜法である。Ti-edta錯体を含むプレカーサー溶液をガラス基板上に塗布し,Ar中で熱処理して部分窒化アナターゼ薄膜を形成後,空気中で熱処理して酸素欠陥をもつアナターゼ薄膜を形成した。薄膜によるメチレンブルー退色反応を紫外光照射下で評価した。その擬一次反応速度定数は,同条件で形成したゾルゲル法による薄膜に比べて約2倍を示した。この薄膜のXPSによりO/Ti=1.5であることが分かり,酸素欠陥が光反応高効率化の重要な一因子であることが示唆された。また,熱処理温度を変えてルチル薄膜を形成し,その薄膜の光反応性も評価した。