抄録
チタン金属をNaOH水溶液で処理(アルカリ処理)し、その表面にチタン酸水素ナトリウムの層を形成させた後、CaCl2水溶液に浸漬すると、Na+とCa2+のイオン交換により表面層はチタン酸水素カルシウムとなり、これを加熱処理するとチタン酸カルシウムの層になる。しかし、これを擬似体液に7日間浸漬しても、その表面にアパタイトは形成されない。そこで、加熱した試料をさらに温水で処理し、それを擬似体液に浸漬したところ浸漬1日以内に試料表面はアパタイトで覆われた。長期保存を想定し、試料を高温・高湿下に曝したところ、アルカリ-加熱処理チタン金属のアパタイト形成能は著しく劣化したが、アルカリ-CaCl2-加熱-温水処理チタン金属のアパタイト形成能は劣化しなかった。