抄録
演者らの研究グループでは、切削加工で「空間」を設け、「熱処理」を施すだけで、チタン金属表面に自発的なアパタイト形成能を付与する技術を報告してきた。本研究では、この技術をTi-15Zr-4Ta-4Nb合金(Ti-15-4-4)へ応用し、アパタイト形成能の最適化を図るとともに、人工関節へ応用するための可能性を評価した。Ti-15-4-4に対して、500℃で熱酸化し、深さ/幅 <1.0 mmの溝空間をデザインすれば、擬似体液中でアパタイトが形成することが分かった。そして、熱処理により酸化層を設けたTi-15-4-4は、高い耐食性を示すとともに、熱処理前のそれと同程度の細胞適合性を示した。