抄録
酸化物イオン伝導体は固体中の電気伝導において酸化物イオンの移動や変位を伴うが、これらに関する知見はほとんど得られていない。本研究では、酸化物イオン伝導体の誘電特性を調べることでイオンの分極やその過程を明らかにすることを試みた。試料にはCaOを添加したZrO2(Zr1-xCaxO2-δ)を選択した。比誘電率(ε’)の周波数依存性に関する数値解析は、誘電特性がドーパント-酸素欠陥相互作用に起因するデバイ型分極成分と電解質-電極間の界面分極成分から構成されることを明らかにした。また、数値解析から得られた各誘電定数を用いることで交流伝導度σacやtanδの周波数依存性について説明することに成功した。