抄録
強化磁器の大半であるアルミナ強化磁器は重くて熱伝導率が高いという問題がある。そこで、アルミナの代替として比重や熱伝導率が小さく、素材強度も高いステアタイト含有磁器素地を検討した。基本調合として用いたステアタイト含有磁器素地の焼結物性は、ビスク曲げ強度179MPaと高強度ではあるが、焼成温度幅が5℃と極めて狭く焼成をコントロールすることが困難であった。焼結助剤としてインド長石を10%添加した素地は、かさ密度2.41g/cm3、熱伝導率2.2(W/m・K)、ビスク曲げ強度159MPa、焼成温度幅は70℃に広がった。アルミナ強化磁器と同等な曲げ強度でありながら、アルミナ強化磁器の欠点であるかさ密度(2.6~3.0 g/cm3)と熱伝導率(3~5(W/m・K))の高さを改善できた。