臨床リウマチ
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原著
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を用いた関節リウマチ患者におけるポリファーマシーの評価
中村 郁勝須古 杏子森岡 淳子高岡 宏和
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2019 年 31 巻 4 号 p. 294-299

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抄録

【目的】ポリファーマシー(PP)は,副作用発現率の増加に影響するが,関節リウマチ(RA)患者は,抗リウマチ薬に加え対症療法薬の使用など多剤併用となる要因が多い.今回,RA患者におけるPPの評価を「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を用いて行った.

【対象・方法】2015年4月から2018年3月までの当院リウマチ膠原病内科外来患者のうちメトトレキサート投与中の75歳以上のRA患者77名において後方視的に薬歴調査を行った.

【結果】処方剤数5剤以下群,6~9剤群,10剤以上群の該当は各々48名,13名,16名であり,各群における「特に慎重な投与を要する薬物」の処方割合は52%,85%,100%であった.併用薬剤の処方率は,プレドニゾロン(PSL)36%,非ステロイド性消炎鎮痛薬53%,葉酸73%,疾患修飾性抗リウマチ薬9%,生物学的製剤13%であった.PSL服用患者では消化性潰瘍治療薬85%,骨粗鬆症治療薬57%,睡眠導入薬29%,血糖降下薬21%が併用され剤数増加の要因となっていた.

【考察】今回,PSLの副作用予防薬の併用がRA患者における多剤投与の要因の一つであることが分かった.また,「特に慎重な投与を要する薬物」の処方率が高いことから,RA患者においては,単なる剤数の評価ではなくこれらの薬物の継続についての評価を医師とともに検討する必要があると思われた.RAの早期診断・早期治療によるPSL長期使用の回避がPP対策の一つとなり,そのための抗リウマチ薬適正使用を目的とした薬学的介入が今後重要である.

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© 2019 一般社団法人日本臨床リウマチ学会
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