抄録
現在,大都市圏では夏季の気温上昇(ヒートアイランド現象)が顕著になり,その対策が急務となっている.通常の建物外壁・屋根や舗道などの材料は緻密質で熱伝導性が悪いことから日中に吸収した太陽熱を夜間に放出する.これを抑制するためには,多孔質セラミックスで毛管張力による自律的な揚水能に優れた材料が必要である.そこで,有機繊維を造孔材としたセラミックペーストを押出成形後,これを焼成する方法で貫通気孔が一次元的に配向したロータスセラミックスを作製し,その揚水能と蒸散能とを評価した.得られた多孔体は造孔材による大きさの揃った気孔とマトリックスに存在する微気孔とを有していた.この揚水能を測定した結果,揚水速度はWashburn式で近似でき,Ptroの提唱する有効気孔径を用いることにより揚水能が評価できることが分かった.また,その表面温度低下効果についても確認した.