抄録
本研究では,ZnOバリスタへの各添加物による耐劣化特性の向上への影響を解明することを目的とする。そのために,できる限り耐劣化特性の良好なZnOバリスタを作製し,添加されている種々の添加物から一つずつ添加物を抜くあるいは少なくすることで添加物の課電劣化への影響を調べた。ZnOに種々の添加物のほかにZrO2を添加した試料とZrO2を添加しない試料とMSA社製の試料を比較することで評価した。Bi2O3の結晶構造をγ型とするものは空気中で700℃アニール処理を行った。Zrを添加した試料はアニール処理を行うことで耐劣化特性が向上し,MSAの試料と同様の傾向にあるが,Zrを添加しない試料は耐劣化特性が劣化した。アニール処理を行ったそれぞれの試料のXRD測定結果より,Zrを添加した試料で,ZrO2の回折ピークと異なるピークが確認されるので,Zrの化合物ができていることが推測される。MSAではこの回折ピークは観測されなかった。ゆえに,研究途上ではあるが,Zrの化合物が酸素イオンやZn2+イオンの移動を妨げる働きをし耐劣化特性を向上させると推測される。