抄録
酸化タングステン(WO3)はフォトクロミック現象を示すことから調光ガラスなどへの応用が進められている。我々の研究グループでは、タングステン線材を通電加熱することにより線材近傍に配置した基板上にWO3結晶を堆積させることに成功した。試料に紫外光を照射したところ、照射時間の増加に伴い、波長500~2500 nmの領域で、相対拡散反射率が低くなるという傾向が得られた。また、紫外光を照射後、試料を暗所に置いたところ、放置時間の増加に伴い、波長500~2500 nmの領域で、相対拡散反射率が高くなるという傾向が得られた。以上より、通電加熱により作製したWO3結晶はフォトクロミック現象を示すことが見出された。