抄録
従来、固体表面の濡れ性指標は、「静的」な濡れ性(接触角)で特徴づけられてきた。しかし、近年各種の工学分野では、撥水性固体表面の「液滴の除去性能」を示す「動的」な濡れ性の重要性が認識されてきている。この「動的」な濡れ性は、「一定の傾斜角でどれくらいの速度で水滴が転落するか?」という動力学的概念であることから、転落角(固体表面を徐々に傾けていき、液滴が転落を開始する角度)ではなく、転落速度・転落加速度で評価する必要がある。「動的」な撥水性の計測システムは、これらの事項の効率的且つ高精度な測定に加え、これらに影響を与える、液滴の形状変化や内部流動も評価できることが望ましい。我々は、高速度カメラで取得した映像を動画解析することで、液滴転落性評価を可能にする「液滴転落挙動解析システム」の開発に成功し、昨年、その技術移転を行った。