抄録
一価金属イオン(Li+,Na+,K+イオン)の β 型リン酸三カルシウムへの固溶が,その溶解性へおよぼす影響を溶解試験を行い評価した.Ca2+イオン溶出率は,Li+イオン固溶 β -TCP< Na+イオン固溶 β -TCP< K+イオン固溶 β -TCP< β -TCPの順となった.また,各評価試料の格子定数が,ことなることも確認されたため,Ca2+イオン溶出率は β -TCPの結晶格子(構造)の変化が関係すると推測した.溶解試験後の残さは,すべての試料で β -TCP単相であり,その格子定数の変化もなかった.