抄録
チタン金属へ骨結合性を付与する方法として,チタン金属をNaOH水溶液に浸漬した後,加熱処理して,同金属に生体内でのアパタイト形成能を付与する方法が報告されている.本研究では,同金属表面のNa+イオンをアルカリ土類イオンで置換するとそのアパタイト形成能がいかに変化するかを調べた。
NaOH処理後,MgCl2で処理すると,Naが2.7atom%のMgで置換された.これを加熱処理すると,アナターゼ(TiO2)を析出した.加熱処理前のMgCl2処理試料のアパタイト形成能は極めて低かった.加熱処理後には,そのアパタイト形成能が向上したが,従来のNaOH・加熱処理試料より低下した.