抄録
BaLn2Mn2O7(Ln =希土類)は、AO(ABO3)2で表されるRuddlesden-Popper型のhomologous化合物に属し、層状構造を有する。この酸化物は、Deshizeaux-CheruyとJoubertにより初めて合成されて以来、合成雰囲気や焼結条件を変えて多くの新相が発現した。新相出現の多くは、相転移を利用した結果であり、さらに新たな相の発現が期待される。最近では、一部の希土類においてFZ法による単結晶の合成にも成功した。今回、この酸化物を高温透過型電子顕微鏡(TEM)および単結晶高温X線回折法(XRD)により構造変化をその場観察した結果、これまでに報告されたことのない、層状ペロブスカイト特有と思われるユニークな一次相転移を起こすことを確認した。