抄録
複数の近接する金属ナノ粒子に光を照射すると、粒子間隙に強い電場が発生し、ラマン散乱強度が増大する効果(SERS)がみられる。本研究では、ガラス基板上での銀ナノ粒子の集合状態制御とそのSERS特性について検討した。水溶液系から合成した銀ナノ粒子は、遠心分離してアルコール溶媒中に分散させた。TEM観察から、アルコール溶媒中の粒子には複数個つながった鎖状体が含まれることを明らかにした。ガラス基板上に自己組織化したとき、溶液中でみられた連結粒子の状態で基板上に堆積させることができた。連結粒子を多く含む粒子上に吸着したローダミン6G分子のSERSを測定したところ、そのラマン散乱強度は孤立粒子からなる系の約 9 倍であった。