抄録
TiO2は環境材料および光学材料への幅広い応用が期待されている。環境材料として用いるためのナノスケールでの結晶構造および形態制御の研究は学術および産業界にて多くの研究者によって進歩してきた。しかしながら、単結晶アナターゼ型TiO2をマイクロメートルスケールまで成長させることは非常に困難である。これは、溶液合成ではナノ結晶が生成しやすく、理論的にも数十nmが限界である。なぜならば、アナターゼTiO2は熱力学的に準安定相であるからである。これまでのところ、溶液合成法を用いた大きなアナターゼ型TiO2単結晶であり、かつ熱力学的平衡状態の形態である八面体に非常に近い形態を作製した例はない。本研究では、大きな単結晶アナターゼ型TiO2八面体の溶液合成について報告し、結晶成長を制御することで、八面体アナターゼ上にナノピン形態を有するルチルTiO2を作製した栗のような形態を作製した。