抄録
本研究では、水溶性チタン錯体であるグリコール酸チタン酸錯体を原料として、人工物としてのみ存在が確認され、一般に合成が困難とされているB型酸化チタン(TiO2(B))の水熱反応による合成を目的とした。金属チタン粉末に過酸化水素水とアンモニア水を加えて溶解し、錯形成剤としてグリコール酸を添加することで安定なグリコール酸チタン酸錯体を作製した。この錯体溶液に添加剤として硫酸を加えた強酸性条件でオートクレーブを用いて水熱処理を行った。得られた試料はXRD測定の結果TiO2(B)の単相であることが確認された。またSTEMでの観察により太さ12nm、長さ50nm程度の棒状粒子が長軸方向を揃えて凝集していることが確認された。