抄録
水溶性チタン錯体の水熱処理により得られるルチル型酸化チタン(TiO2)の形態が、錯体水溶液にグリコール酸を過剰量加えることで、ロッド状からウィスカー状に制御可能であることを見出した。得られるウィスカー状TiO2はc軸方向に異方成長しており、(110)、(-110)、(1-10)、(-1-10)に囲まれていることが分かった。合成したルチル型TiO2の光触媒活性を紫外光照射時におけるTiO2の光触媒作用によるしゅう酸の酸化分解反応により評価したところ、ロッド状粒子よりもウィスカー状粒子の方が比表面積が小さくとも高い光触媒能を有していることが分かった。したがって、ルチル型TiO2の形態を制御することによりその光触媒能を向上させることに成功したと言える。