抄録
強誘電体薄膜は不揮発性ランダムアクセスメモリー(FeRAM)と
して応用され, その微細化が求められている. また, 分極
特性やヒステリシスの膜厚依存性(ナノサイズ効果)が強誘電体
の基礎物性として実験と理論の両面から盛んに研究されている
ところである.
強誘電体の分子動力学シミュレーションは長距離の双極子間相互作用を
含むために大規模な系を高速に計算することが困難であった.
また, 強誘電体薄膜のシミュレーションでは強誘電体-電極界面の
構造に起因する反分極場をいかにして取り込むかが課題であった.
そこで, われわれはフォノンの逆空間での分散関係と高速
フーリエ変換 (FFT) を巧妙に用いた強誘電体薄膜の高速な
分子動力学手法を開発た. 分子動力学ハミルトニアンとしては
第一原理計算より求められるポテンシャルを用いる.
feram と命名し, http://loto.sf.net/feram/ でフリーソフトウエア
として公開している.