抄録
固体内プロトン伝導を利用して種々の条件下で分極処理したハイドロキシアパタイト(HAエレクトレット)の熱刺激脱分極電流(TSDC)測定を行い、その結果の理論計算による再現を試みた。結果、いずれの実測TSDC曲線も、緩和時間のpre-exponential factor(τ0)と緩和の活性化エネルギー(Edr)を異にする4種類の双極子緩和モデルを仮定することで理論的に算出可能であることが分かった。見かけの分極状態に対する各分極状態の寄与率は分極条件およびHAの微構造により変化することから、各条件の組み合わせを変えることにより、分極量(Q)と緩和時間(τ)を独立に制御することが可能であることが示された。