抄録
アルミナセラミックスは、高温構造材として広く実用化され、その特性の多くが、粒界のような格子不整合領域における原子構造や欠陥形成と深く関与していることが知られている。本研究では粒界構造の周期性が高く、計算機シミュレーションによる構造予測が可能な[1-210]{10-14}Σ13pyramidal双晶粒界をモデルとし、第一原理計算を用いてその構造及び内因性空孔形成の理論解析を行った。その結果、Al、Oともに、空孔形成エネルギーには強いサイト依存性があり、粒界面に近いサイトほど形成エネルギーが小さくなることがわかった。また、空孔形成エネルギーのサイト依存性は、結合欠損などの粒界における原子構造のひずみと相関があることがわかった。