抄録
チタン酸バリウム中の希土類元素は、酸素欠陥の拡散を抑制し絶縁信頼性を向上させる効果があるとされているが、そのメカニズムはほとんど理解されていない。本研究では、希土類元素の固溶エネルギーと、希土類元素と酸素欠陥との相互作用を系統的に調査するために、第一原理計算による高精度理論解析を行った。その結果、Aサイト固溶した希土類元素は第一、第二近接位置の、Bサイト固溶した希土類元素は第二近接位置の酸素原子サイトに酸素欠陥をトラップする傾向があることが分かった。また、固溶エネルギーが高いものほど酸素欠陥を効果的にトラップすることも明らかになった。