抄録
低圧ガス雰囲気中において,分極を一方向にそろえた焦電性結晶の温度を変化させるだけで高強度の電界,正イオンと電子が生成され,制動輻射により白色X線と,結晶や結晶と対向したターゲットの特性X線が発生することが報告されている.この方式でX線を発生させる場合,高電圧電源や電子銃が不必要であるため,装置の小型化が可能となる.X線強度は圧力に依存し,圧力が数Pa以上になると,強度が急激に低下する.しかし,仕事関数が小さい筐体材料を用いることで,光電効果による光電子放出量を増大させられることが分かった.放出された電子がX線発生に寄与するためにPmax付近でX線強度が相乗的に大きくなったと考えられる.