抄録
低温作動を可能とする固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell,SOFC)の電解質材料として,GDC(Gadolinia Doped Ceria)が有力な材料の一つとして考えられている.しかし,GDCの強度はセリア単味よりも低く,高強度化が必要となる.そこで本研究では,破面観察により破壊源を同定し,GDCセラミックスの強度低下要因を明らかにすることを目的とした.
GDCセラミックスは,Ce0.9Gd0.1O2粉末を大気雰囲気中,1200℃,1300℃,1400℃,1500℃,1600℃で2時間焼結することにより作製した.比較のために,CeO2セラミックスも同様にして作製した.作製したGDCセラミックスとCeO2セラミックスの強度は4点曲げ試験により測定した.曲げ試験後,SEMを用いて破面観察を行い,破壊源の特定を試みた.以上の結果により,GDCの強度低下の原因について考察した.