抄録
我々は生体吸収性リン酸カルシウム粒子のドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用を目指し、超音波噴霧熱分解法を用いて、-リン酸三カルシウム(-TCP)およびカルシウム欠損アパタイト(Ca-deficient HAp)の二相からなる中空微小球を合成した[1]。このリン酸カルシウム微小球に血管新生抑制剤(TNP-470)を担持させ、これを癌化させたヌードマウスの腫瘍近傍に皮下注射したところ、優れた抗腫瘍効果を示した[2]。しかしながら、この微小球はヌードマウスの皮下組織に残留するという問題があった。そこで、本研究では、生体内で吸収されやすく、さらに効率良く薬剤を担持および徐放できる微小球の合成を目的とし、微小球表面に微細な気孔を形成させるプロセスを検討した。