抄録
バインダーとして小麦澱粉を含有させ、術前に混合操作を必要としない新しい骨ペーストの作製を試みた。
DCPAとTTCPの粉末を等モル混合し、CP混合粉末を得た。次に市販の小麦澱粉粉末を水と混合し、加熱することで粘性を示す澱粉溶液を得た。CP混合粉末とこの澱粉溶液を混練し澱粉含有CP ペーストを調製した。この澱粉含有CPペーストをTris-NaCl緩衝溶液(TRS) もしくは擬似体液(SBF)に浸漬し、37°Cで3日間保持した。溶液に浸漬前後の試料についてXRD及びSEMによりその構造を解析した。
試料のXRD回折パターンから浸漬前はHApに転化せず、TRS浸漬後および、SBF
に浸漬後にHAp に転化することが確認された。析出物の形態は骨類似アパタイトのそれに類似していることがわかった。