抄録
本研究では,多孔質α-オルトリン酸カルシウム(α-Ca3(PO4)2; α-TCP)球状粒子をCPPに添加し,さらにシクロデキストリン(CyD;β型)を加えて,新規リン酸カルシウム硬化体の作製を試みるとともに,得られた材料の諸性質を評価した。多孔質-TCPは0.9 mol·dm-3 Ca(NO3)2,0.6 mol·dm-3 (NH4)2HPO4,0.1 mass% コロイダルシリカの酸性水溶液(Ca/P = 1.5)を600ºCで噴霧熱分解したのち,この粉体を1200ºCで10 min熱処理して得た。硬化体は30 mass% α-TCP粒子とCyDとをCPPに添加して作製した。CyDのCPPへの添加は液剤への添加と,粉剤への添加の2通りで行った。各方法でCyDをCPPに添加し,15 min以内の条件で硬化時間を測定したところ,30 mass%α-TCPを添加したCPPに対して,CyDを粉剤中に8.33 mass%,また液剤中に0.56 mass%添加できることが分かった。