抄録
水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2:HAp)は骨欠損部の修復やその代替材料として最もよく利用されている材料である。我々は従来の硬化メカニズムとは全く異なる単一成分で硬化する「キレート硬化型アパタイトセメント」を開発し、今までにこのアパタイトセメントの高強度化についても取り組んできた[1]。そこで、本研究では、ボールミルで機械粉砕した水酸アパタイト粉体を原料とする「高強度化キレート硬化型骨修復セメント」の生体内での強度変化を理解することを目的として、生体擬似体液(SBF)にセメント試料片を浸漬し、浸漬前後の圧縮強度の経時的変化および溶解析出挙動を調査した。