抄録
窒化ケイ素セラミックスは、耐熱性、耐摩耗性、耐食性、高強度などの特性を持つことから、高温構造用材料として期待されている材料である。しかし、窒化ケイ素の焼結で用いられる液相焼結では、粒界にガラス相が存在し、材料特性に大きく影響するため、できるだけ粒界相の少ない窒化ケイ素セラミックスが望まれる。一般的には、熱処理によってガラス相を減少することにより、熱的特性の向上が可能であるが、その際には粒成長が同時に進行する。そのため、熱的特性の向上に寄与する因子として、粒界相量の減少と粒径の増大のどちらが大きく寄与しているか検討する必要がある。
本研究では、粒径の大きなSi3N4原料を用いて焼結体を作製し、熱処理時の粒成長を抑制することによりSi3N4焼結体の熱処理前後の熱的特性変化に及ぼす粒界相量の影響を検討した。