抄録
電気絶縁性ポリマーに伝導性微粒子を添加すると、ある閾値以上でパーコレーション伝導と呼ばれる電気伝導性を示し、それらは温度変化に伴い正の温度係数(PTC)特性を有する。本研究ではグラファイトに、結晶性であるポリエチレン(HDPE)、あるいは非晶性であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)を混合し、温度変化によるポリマーの性質と混合体の電気伝導性を調べることで、ポリマーの結晶性がPTC効果に大きな影響を与えることがわかった。これはHDPEの融解時、HDPE中に均一に分散していたグラファイトが冷却時HDPE結晶粒界へと押し出され、グラファイトによる伝導パスが形成される。また加熱すると、この独特な伝導パスがHDPEの軟化、熱膨張により伝導パスが切断されるためと考えられる。