抄録
蛍光体に代表される発光材料はディスプレイや照明など、幅広い分野に応用されている。蛍光体の実用化の歴史は古いが、今日に至るまで、化学的・物理的安定性や発光色など材料自体の蛍光特性が重点的に研究され、より強く光るものを目指した蛍光体開発が行われてきた。これに対して近年になって研究対象として注目されているのは、蛍光体粒子の形状による蛍光特性への影響などの二次的光学効果を狙ったものであり、蛍光体のアプリケーションの発展につながっている。本研究では、光触媒として報告例のある球状のマクロポーラス粒子形態を蛍光体に適用し、その蛍光特性を評価することを目的とした。蛍光体のモデル材料として、合成が容易で輝度が高いことで知られる赤色蛍光体Y2O3:Eu3+を選択した。