抄録
酸化チタン(チタニア)を高濃度のアルカリ水溶液で水熱処理することにより合成されるチタニア誘導ナノチューブは環境・エネルギー分野での応用が期待されている。このような水熱合成ナノチューブは、シートがスクロールする機構により生成すると報告されているが、近年、結晶成長機構説も報告されており、その詳細は解明されるに至っていない。これは、水熱プロセスおいて、ナノチューブの前駆体とされるナノシート単一相の合成が困難であり、その評価が十分なされていないことが要因の1つに挙げられる。
本研究では、出発原料に金属チタンを用い、水熱プロセスにおける処理条件を制御することにより、チタニア誘導ナノチューブの前駆体であるナノシート単一相の合成とその評価について報告する。