抄録
次世代型の太陽電池として注目されている色素増感型太陽電池(Grätzel cells)には,主に増感剤としてRu錯体をはじめとする有機色素が用いられるが,耐久性やコスト,資源的制約などの問題を抱えている.増感剤に無機半導体化合物を用い,ナノレベルで制御することで,量子サイズ効果などのバルクとは異なった光学特性が生じ,性能の向上が期待できる.今回,資源的な制約が少なく,毒性が低く,さらに吸光係数が高い硫化スズを増感剤に選択し,SILAR法でTiO2電極に吸着させることで,太陽電池への応用を試みた.