抄録
我々の研究グループでは、水溶性チタン錯体の水熱処理による酸化チタン(TiO2)の合成に関する研究を行っており、これまでに錯体の配位子や溶液のpHを制御することにより、アナターゼ、ルチル、ブルカイト、TiO2(B)の四種類のTiO2多形を選択的に、かつ、一段プロセスで合成することに成功している。水溶性チタン錯体を活用した水溶液プロセスによるTiO2の合成をさらに発展させ、複合材料合成への展開を図るためには、より多くの水溶性チタン錯体を化学設計し、水溶液中での挙動をより系統的に把握することが望まれる。本研究では、これまでに検討していない配位子を用いた新規水溶性チタン錯体の調製、および得られた多様な水溶性チタン錯体の水熱処理によるTiO2光触媒の合成に成功した。