抄録
尿素と塩化アルミニウム六水和物の熱分解によって合成したAlN前駆体を含む生成物を接合材に用いてAlNセラミックス基板間の接合を行った。この接合材は、多量のラジカルを含み反応性が高く、窒素流中での接合加熱中にAlNを形成する。また、接合材合成時の熱処理時間を長くすることにより、接合後のAlN層に残存する不純物炭素の含有量は減少した。作製した接合体の剪断強度は、接合温度1000~1300℃までは約16~22MPaとほとんど変化は無かったが、1400℃以上で急激に上昇し、1500℃で平均86MPaと高い強度を示した。接合温度1500℃では接合界面が不明瞭となり、接合材から形成されたAlN層内部の焼結性も向上した。以上のように、この接合材は、異種材料を含まないAlN接合体を低温で作製するのに好適である。