抄録
スピネル型構造をもつ化合物は,多様な構成元素の組み合わせによって,幅広い物性を実現可能である.本研究ではNaAlO2を主原料のひとつとするNi-Fe-Al系酸化物スピネルの合成法について検討した.出発原料にアルミン酸ナトリウムと含水硫酸ニッケル,含水硫酸鉄の粉末を使用し,アルコールを用い湿式ボールミルにて混合した.乾燥後,所定の温度で加熱した.その後,蒸留水で洗浄ろ過し,仮焼した後,生成相を粉末X線回折で調べた.ボールミル処理のみの段階では,Al(OH)3とNa2SO4が結晶相として確認された.加熱処理により,スピネルとNa2SO4の結晶相が生成した.また,加熱後の粉末を洗浄ろ過し,Na2SO4を洗い流した後仮焼した粉末にはスピネルとNiOのみが存在した.Feの含有量を増加して混合していくとNi(Al,Fe)2O4単一のスピネル固溶体が生成した.