抄録
近年、半導体ベースのスピントロニクスが脚光を浴びている。半導体スピントロニクスでは、金属スピントロニクスにおいて達成困難なスピントランジスタに代表される半導体機能を有した新しいデバイスの実現が期待される。演者らはマグネタイト(Fe3O4)の特徴を利用した新たな磁性半導体薄膜の実現を目指し、マグネタイト-ウルボスピネル固溶体[(1-x)Fe3O4-xFe2TiO4]に注目している。この系の単結晶および多結晶は、化学量論組成に基づきp型およびn型のキャリアタイプの制御が可能であり、どちらの種類の磁性半導体においても室温以上のTcが観察される(x~0.8)。今回、パルスレーザー堆積(PLD)法によりマグネタイト-ウルボスピネル固溶体エピタキシャル薄膜を作製し、その電気的・磁気的性質について評価した。