抄録
本研究では層状水酸化物を前駆体とした板状スピネル粒子の室温超常磁性を報告する。層状酸化物を前駆体として使用した結果、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウムを含んだ二元系、三元系スピネル粒子の調製に成功した。前駆体が層状結晶構造であるため、スピネル粒子は板状であり、長さ、幅は約1 μm, 厚さは 20-50 nm ほどであり、(111)面を表面としたおおよその単結晶である。NiCoAlO4, NiCo2O4粒子の磁性を測定した結果、大きな粒子径(ミクロン級)にもかかわらず室温での超常磁性が確認された (TB はそれぞれ 40 K, 250 K)。また、NiCoAlO4 は準安定相であり、クエン酸法、固体反応法では調整が極めて難しことが確認された。