抄録
表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したセンサ素子の表面上約200 nmの空間における微小な屈折率変化を,共鳴角の変化として検知することが可能な測定方法である.このセンサ素子表面に酸化物膜を挿入することで,酸化物膜-液体界面および酸化物膜と生体分子の相互作用の検出が可能となる.本研究では,アモルファスアルミナ膜/金属膜積層SPR素子を用いてリン酸緩衝液(PB)に溶解したヒト血清アルブミン(HSA)とアルミナ膜の吸着・溶出の評価を行った.その結果, はじめはアルミナ膜表面から付着していたHSAが除去されたことを示唆する結果となり,アルミナ膜へHSAは吸着するが,アルミナ膜が微少にPBによりエッチングされ,時間経過に伴いHSAがアルミナ膜と共に溶出していくことが示された.