抄録
無機ナノ粒子の生体安全性の基準は未だ確立されておらず、ナノ粒子を生産する企業群からは、その生体安全性について不安視する声も上がってきている。今回市販されている、粒径の異なるY2O3粒子の生体安全性を、マウス骨芽細胞様細胞を用いてin vitro における増殖・毒性を測定することで評価した。結果、Y2O3粒子の粒径が小さいほど、また高濃度ほど毒性が発現する傾向が現れた。アクチンフィラメント染色後の観察で、Y2O3 33 nm 10 μg/ml の場合、細胞の大きさはコントロールに比べ小さくなっており、アクチンフィラメントも少なかった。これらの結果から、10 μg/ml以上の濃度のY2O3ナノ粒子はアクチンフィラメントの発達を抑制し、また細胞増殖を抑制すると考えられる。